コーヒーとカフェイン、そしてカフェインレスコーヒー(デカフェ)
コーヒーにカフェインがふくまれることを知らない人はおそらくいないでしょう。イスラムの秘宝とされていた時代から、コーヒーの呪術的な香りと魅惑の味、そして飲んだ後の覚醒作用に、古代より人々は虜となってきました。現代でもコーヒーの消費量は減ることなく、世代を超えて愛飲されています。
日本でもパンやパスタ、ケーキや焼き菓子など、小麦粉食文化が主流になったことも追い風になり、インスタントコーヒーやポーションコーヒーをふくめて、コーヒーを飲まない家庭の方が珍しいのでは?というくらい一般化し、浸透しています。
さて、そんな人気者のコーヒーの主要成分である「カフェイン」に今回はフォーカスしてお話してみたいと思います。
カフェインの発見
カフェインという名前の由来ですが、「カフェ(コーヒー)にインしている」ということから来ています。紅茶や緑茶、チョコレートにもふくまれていることは今ではひろく知られていますが、最初の発見はコーヒーからだったのです。
発見したのは、1819年、ドイツの化学者フリードリープ・ルンゲという人です。分析化学者であったルンゲに、コーヒーの薬理活性成分の分離を勧めたのは、かの有名は大文豪ゲーテであったといわれています。1806年、ナポレオンの経済封鎖策によってヨーロッパ全土でコーヒー不足が起きます。ナポレオン失脚後に秘蔵のモカの豆を提供したのがゲーテだったのです。
カフェインの作用
カフェインのヒトに対する主な作用は、中枢神経系を興奮させることによる覚醒作用および弱い強心作用、脂肪酸増加作用による呼吸量と熱発生作用による皮下脂肪燃焼効果、脳細動脈収縮作用、利尿作用などです。体重減少作用を確認した研究も存在するものの、カフェインの皮下脂肪の分解効果はインスリンによって打ち消されるようです。医薬品にも使われ、眠気、倦怠感に効果があるものの、副作用として不眠、めまいなどの症状が現れることもあります。
動物にも類似の効果が期待されるため、競馬界においてカフェインは競走馬に投与してはならない禁止薬物の1つとして規定されているそうです。
コーヒーノキはなぜカフェインを作るのか
なぜコーヒーノキはカフェインを作るのかというと、忌避作用のためだといわれています。特に害虫から新芽を守るために作り出しているようですが、その他にも種子に多くふくまれています。
カフェインには、他の植物の生育を阻害する作用があるのでその力を利用して自分だけが上手く成長できるようにしようとする、生存戦略があるようです。ただし、害虫や他の植物のなかにもカフェインをものともしない輩もいるようです。日々生き延びるために切磋琢磨する自然界の恩恵を受けて、我々はカフェインという漁夫の利を得たといえそうです。
カフェインレスコーヒーの発明
カフェインレスコーヒー(デカフェ)についてですが、こちらは厳格なキリスト教やイスラム教など、カフェインを禁止する人々の影響と、カフェインが神経症の原因であるというネガティブキャンペーンにより、発明されました。
1903年、ドイツのコーヒー商人がベンゼンを使ってカフェインを抜く方法を考案しました。しかし、ベンゼンの残留毒性が問題視され、現在はジクロロメタンなどの低沸点の有機溶媒に生豆を漬けてカフェインを抜く方法が用いられています(ケミカルプロセス、直接法)。
スイスウォータープロセス
化学的な方法では不安を感じる人が多くいたため、次に発明されたのが「スイスウォータープロセス」、間接法です。この方法のデメリットである味の軽減を改良したのが、現在の主流となっている、水を生豆に通したあとでカフェイン除去をするという作業を繰り返し行う循環式のカフェイン除去法です。
超臨界二酸化炭素法
現在人気のカフェイン除去法として、「超臨界二酸化炭素法」というものがあります。二酸化炭素を超臨界状態にすることで生豆のカフェインだけを除去することが理想値に近くできることから、スイスウォータープロセスより味がいいと評判です。
カフェインレスコーヒーの現状
しかし、カフェイン除去の工程でどうしてもカフェイン以外の成分の損失は否めず、風味としては価格の割に通常のコーヒーには劣ってしまう、というのがコーヒー屋としての感想です。ですが、上手く焙煎できればある程度のカフェインレス臭を取り除くことも可能で、そうすることにより産地の違いや豆の個性を感じることができます。
現在国内に流通するカフェインレスコーヒーは、僕が確認した限りで10か国ほどありますし、農園物も出てきています。カフェインレスコーヒーを選択する人も、じゅうぶん美味しいコーヒー、楽しいコーヒーライフを送ることができるのが現在のコーヒー事情です。
デカフェとは
最後に、デカフェという名称ですが、主にカフェインレスコーヒーに対して使われることの多いのですが、本来はカフェインを取り除いた食品全般に使われる言葉です。日本ではデカフェという発音をすることから「DECAFE」と表記することもありますが、海外では「DECAF」です。
BON COFFEE’s Master
静岡大学卒業後、2009年に地元福井駅前にて「BONCOFFEE」を、2015年に豆販売に主軸をおいた2号店「BONCOFFEE -BEANS STORE-」を開業。2020年、福井駅前再開発事業にともないビーンズ店を板垣に移転し現在に至る。モットーは「1杯のコーヒーのチカラで世界を少しまったりさせる」。作り続けたいコーヒーは、子供からお年寄りまで誰もが気軽に楽しめるコーヒー。コーヒーが飲めなかった人がBONCOFFEEのコーヒーなら飲めた、ブラックで飲めなかった人が飲めるようになったとの声多数。
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