コーヒー、飲用の歴史

焙煎
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抽出の歴史。実は謎だらけだということは、このブログの「コーヒー、始まり以前」でも書きましたが、今回は記録に残っている15世紀以降の歴史をまとめてみます。

 

記録に残っていない部分のロマンスを感じながら、現在までの歴史を旅して頂けたらと思います。 

イスラムの秘薬

煮出したコーヒーがイエメンで飲み始められたのが、15世紀前後ということが通説ですが、その当時はまだ、主にイスラム教の勤行用として、つまり寝ずにコーランをよみ続ける為の秘薬としての側面が強かったようです。その為、イスラム教圏外への門外不出の資産としてコーヒーは取り扱われていました。

 

焙煎したコーヒーの起こり

16~17世紀頃になると、イスラム圏ではコーヒーハウスブームが起こった記録があり、その頃には生豆の煮出し式から、コーヒー豆を焙煎して粉砕した豆を煮出す方法へとシフトしていたと考えられています。

 

1650年頃にはトルコ、イスタンブールに個人用のシリンダー型の手回し焙煎器具の記録が残っています。さらに、時を同じくしてイギリス、ロンドンでもこれに似たブリキの大型焙煎機が製作された記録があるそうで、17世紀にはヨーロッパ中にコーヒーが広まりつつあったのかもしれません。もしくは、優れた工業技術をもつロンドンの工場へのイスラム圏からの生産依頼だったかもしれません。もしそうだとするなら、イスラム文化の重要な資産であるコーヒーへの価値意識が低くなっていたか、逆に、キリスト教世界への重要な外交カードとしての一面を持ち合わせていたかもしれません。

 

1700年代に入るとフランスでは焙煎したコーヒー豆を粉砕し、袋に詰めたものにお湯をかけてコーヒー液を抽出するコーヒーバッグ方式が始まります。これは、それまでの煮出しコーヒーを提供する、コーヒーハウスの大流行により各店が大量抽出を行っていったことにより徐々に判明しだした、味や香りの劣化を防ぐために考案されたと考えられています。煮出さず抽出するこの方式は今でいう「浸漬式」のさきがけです。

 

その後、フランスでは通称「ドンマルタンのポット」とよばれるコーヒー抽出器具が作られます。1763年のことだそうです。このポットの構造が後の「透過式」誕生のヒントになったといわれているそうです。先ほど話した「浸漬式」と「透過式」について簡単に触れておきましょう。

 

浸漬式

浸漬式は、読んで字のごとく、浸し、漬けることによって抽出する方法です。我々日本人の身近なところでいうと、お茶。急須に茶葉をいれて飲むあのお茶です。この方式は、茶葉をお湯に浸すことで茶葉にふくまれる成分をお湯に抽出します。

 

コーヒーでもこのような原理で抽出されるものがあります。熱湯を張った鍋にコーヒー粉を入れて、かき混ぜて5~10分ほど待ちます。もう一度かき混ぜたのち、粉が沈殿するのを待って上澄みをすくって飲みます。沈殿する作業を省くため、布フィルターで濾すやり方もあります。こちらの方がコーヒー粉がカップに入り込まないためクリーンなカップとなります。

 

~フレンチプレス~

原理を洗練したものといえる、フレンチプレスも浸漬式です。その他、この原理を採用したものに水出しコーヒーがあります。水出しコーヒーにもダッチコーヒーとよばれる透過式タイプもありますが、作業が簡単で持ち運びも便利なことから、近年コーヒーバッグスタイルの水出しコーヒーが重宝されています。こちらは麦茶を作るようなポットに水をいれ、そこにパックを付けて冷蔵庫で一晩寝かすだけ。これも立派な浸漬式です。

 

また、応用編としてはサイフォンコーヒーがあります。この方法は、煮出し式との相の子的な方法ですが、バーナーを外してからは浸漬式スタイルになっています。

 

透過式

透過式は、「ハンドドリップ」といって連想するようなペーパーフィルターを使ったコーヒー抽出が代表的な方法です。こちらは、19世紀ヨーロッパで浸漬式を試行錯誤して改良していった先に見出していった方法です。浸漬式で抽出されたコーヒーよりもっと美味しくすることはできないかという探求心から生まれてきたものです。

 

浸漬式の場合、時間が経つとどうしてもコーヒーの成分が過剰になります。そのため液体は濁り雑味過多。そこをどうにかできないかと考えた結果、抽出完了したコーヒー液から順次外に出ていけばいいという思考回路になっていきました。

 

1800年頃、パリ聖堂の大司教が考案した「ドゥ・ベロワのポット」からはじまり「フレンチドリップポット」へと進んでいき、19世紀から20世紀に入ると、アメリカでもさまざまな方式が発明されます。

 

~ネルドリップ~

その中のひとつに、「メイクライト・フィルター」というものがあります。これは、現在のネルドリップとほぼ同じ方式のようです。ネル=フランネル(綿織物)を縫い合わせて袋を作りそこにコーヒー粉を入れて、上からお湯をかけます。袋は受け(サーバー)に漬かないようにして抽出します。このネルの部分を使い捨てできるペーパーに変えたものがコーヒー抽出の覇権を握った現在のペーパードリップです。

 

まとめ

生豆を煮出した現在でいうところの、「グリーンコーヒー」から始まり、浸漬式から透過式への変遷をまとめてみました。

 

透過式はネルドリップからペーパードリップへと進み、現在に至ります。現在は、浸漬式もエアロプレスやアメリカンプレスなど、さまざまな発展を遂げています。

 

みんなコーヒーが好きですね。本ブログではさまざまな抽出方法をご紹介していますので、ぜひご覧になってみてくださいね。

BON COFFEE’s Master

BON COFFEE’s Master

静岡大学卒業後、2009年に地元福井駅前にて「BONCOFFEE」を、2015年に豆販売に主軸をおいた2号店「BONCOFFEE -BEANS STORE-」を開業。2020年、福井駅前再開発事業にともないビーンズ店を板垣に移転し現在に至る。モットーは「1杯のコーヒーのチカラで世界を少しまったりさせる」。作り続けたいコーヒーは、子供からお年寄りまで誰もが気軽に楽しめるコーヒー。コーヒーが飲めなかった人がBONCOFFEEのコーヒーなら飲めた、ブラックで飲めなかった人が飲めるようになったとの声多数。

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