一杯のコーヒーから考えるSDGs・価格

コンビニのコーヒーマシン
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今や、100円のコンビニコーヒーが美味しいといわれる時代になりました。

それまでの喫茶文化では、作り置きしたコーヒーを保温して提供していた店舗が多かったため、味の良くないコーヒーでしたが、コンビニコーヒーは注文してから高速抽出するため、作り立てのフレッシュなコーヒーが飲めます。人々に便利さと快適さをもたらしたコンビニコーヒーですが、SDGsの観点からみると思わぬ弊害が浮き彫りになってきます。

 

SDGsのおさらい

 

持続可能な開発目標(SDGs:Sustainable Development Goals)を指す言葉です。

2015年9月の国連サミットで加盟国の全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」に記載された,2030年までに持続可能でよりよい世界を目指す国際目標です。17のゴール・169のターゲットから構成され,地球上の「誰一人取り残さない(leave no one behind)」ことを誓っています。

 

2021、ユニクロが提起した問題

中国によるウイグル人強制労働によって生産された綿を使用しているのではないか?という疑惑の払拭に至らず、ユニクロの綿シャツの禁輸措置をアメリカが下しました。

真相は置いておくとして、この件をきっかけに、日本のお茶の間にも、世界は本気でSDGsに取り組んでいるということが知られました。これからのビジネスは、特に大きな企業ほど、自社の利益だけを追求することなく、世界の格差や環境破壊など、社会が抱える問題を解決することが、その会社の存在意義であり責務となってきているのです。

 

コーヒー業界のSDGs

コーヒー豆はコーヒーベルトとよばれる地域で作られる限定的な生産物です。特に発展途上の国での生産が盛んなことから、コーヒー業界では比較的早くから生産者と、生産する土壌・環境のサスティナビリティに対する警告がなされていました。

 

その一環として、トレーサビリティという考えが普及しました。このトレーサビリティとは、生産者まで流通をたどれることが重要であるという考え方のことです。国、地域、農園までをしっかりとたどれることが、ブランドになり、価値になるというわけです。

そうすることで、生産者も品質にこだわりを持てますし、こだわりが価値となり単価の担保となります。

消費者側も、品質の良い、安心安全なコーヒー豆を購入できます。

 

また、さまざまな認証制度があります。オーガニック豆は土壌環境の保全、レインフォレストはその地域の生態系の保護に、フェアトレードはまっとうな金額を支払うことで生産者自身の生活はもちろん、その子どもたちへの学習支援へとつながっていきます。

 

生産者の情報が明示されたコーヒーを買う

認証制度の難点は、認証を取得する際に必要なお金が払えないから取得しないという農家がまだまだ多くあることです。

 

認証シールのないコーヒーはサスティナブルじゃないの?と疑問に思う方も多いでしょう。

 

安心してください。農園まで明示されたコーヒー豆で、100g、400円程度以上のコーヒー豆なら大丈夫です。400円という金額は現時点での筆者の独断なので、絶対だとはいいませんが、多少の上下はあっても、だいたいの目安にはなると思っています。

 

この金額以上の焙煎豆を普段から購入しているという人は、少なくともSDGsを妨げるようなことはしていないといえるでしょう。

コンビニコーヒー

コーヒーには「3たて」というキーワードがあります。「煎りたて・挽きたて・淹れたて」の3つです。美味しいコーヒーを抽出するための基本的なポイントです。このうち、2つを抑えたコンビニコーヒーは、怠惰な悪しき喫茶文化を破壊しました。

 

そして、コーヒーの純粋な味で勝負してきた純喫茶の見直しに貢献することにもなりました。しかし、コンビニコーヒーの低価格路線が招いた大問題が浮き彫りになることにもなりました。それは、今回のテーマである、一杯のコーヒーの価格が招くSDGsの問題です。

 

コーヒー生産農家の取り分

コーヒー生産農家の取り分は、カップ一杯のコーヒーの価格に対して、おおむね「1%」といわれています。仮に一杯350円のコーヒーの場合、×0.01で3.5円です。コーヒー農家は多くが開発途上国で、国連が定める貧困ライン1日2ドル=約110円に当てはめて考えることができる国がほとんどです。

 

110円がデッドラインである人々に、350円のコーヒーなら1日31杯で、500円のコーヒーなら1日22杯飲むことで明日の生活をなんとか保障できるという数字です。

 

コンビニコーヒーの場合は?

コンビニコーヒー100円だと、1日110杯必要となります。2018年の日本国内全体のコンビニコーヒーの杯数が11億杯といわれ、1店舗当たり約130杯だといわれています。つまり、現状は貧困ラインをなんとか超える水準ではあるものの、生産者に豊かさをもたらすことにはなっていないといえます。

 

さらに、コーヒー豆の生産量には限度がありますし、100円のコーヒーの売上が伸び続けても単価の改善がなければ、根本的な持続可能性の向上にはつながっていかないといえます。

 

持続可能なコーヒー生産を支援するには

とにかく安価なコーヒーを購入することを控えることに尽きます。高額なコーヒーを購入すればいいという安易さは、危険もはらみますが、我々消費者が複雑に入り組んだ流通を解読して選択することは困難です。

 

まずは、「一杯のコーヒーの価格の1%が生産者の手に渡る」ということを念頭に置いて行動して欲しいと思います。

 

生産者が豊かになるには、単価の向上が必須です。単価の向上には、品質の担保が必要です。品質の良いコーヒー豆じゃないと売れない、という図式を作れば、品質の良いコーヒー豆を生産するために必要なコストが発生し、そのコストに見合った単価が自ずと設定されていきます。

 

つまり、消費者のニーズというものが負の連鎖を解消していくための唯一の方法となっていくのです。

 

まとめ

今回は現代社会に急速に浸透してきた、SDGsの観点からコーヒーの価格についてひも解いてみましたがいかがだったでしょうか。日本ではユニクロの問題で、現実的に目の前まで迫ってきている課題であることが知らしめられました。

 

これからの企業は、自社の利益だけを優先するのではなく、消費者のニーズと、社会の課題を同時に解決することが当然の義務であるというように変革を迫られています。消費者側も責任ある消費を意識することが重要です。

 

コーヒーショップを営む僕自身も、安価な低品質のコーヒー豆を避け、これまで以上に責任ある仕入れを行っていかなければいけません。一人一人の行動が、すべてのサスティナビリティに通じることを肝に銘じて一緒に行動していきましょう。

 

BON COFFEE’s Master

BON COFFEE’s Master

静岡大学卒業後、2009年に地元福井駅前にて「BONCOFFEE」を、2015年に豆販売に主軸をおいた2号店「BONCOFFEE -BEANS STORE-」を開業。2020年、福井駅前再開発事業にともないビーンズ店を板垣に移転し現在に至る。モットーは「1杯のコーヒーのチカラで世界を少しまったりさせる」。作り続けたいコーヒーは、子供からお年寄りまで誰もが気軽に楽しめるコーヒー。コーヒーが飲めなかった人がBONCOFFEEのコーヒーなら飲めた、ブラックで飲めなかった人が飲めるようになったとの声多数。

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