ペーパーのにおいのおはなし

ペーパーフィルター
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コーヒー屋さんを長年やっていて、よく聞かれるのが、「ペーパーって最初に濡らすんですか?」という問い。本記事ではペーパーを濡らす濡らさない問題と、それに付随する白色=漂白ペーパーと、茶色=未晒しペーパーのにおい問題に迫ります。

 

そもそもペーパーの色の違いって?

コーヒーフィルターには、白と茶色の2色があることをご存知の方、多いと思います。

価格が、なんとなく茶色の方が安くて、白が高い。そのくらいの認識でとらえてきた方がほとんどだと思います。

ここからは、ペーパーの色の違いにまつわるおはなしを掘り下げてしていきたいと思います。 

茶色=未晒しペーパーとは

読んで字のごとく、紙を成形して洗浄したあと、そのままのペーパーです。木の色に近い茶色なのが特徴。本来コーヒードリップ用には漂白紙が主流でしたが、ある事件をきっかけに未晒しペーパーが誕生しました。

 

~ある事件とは~

ペーパー最大手の三洋産業の社長のおはなしによると、今から数十年前にダイオキシン問題が発生したことが未晒しペーパー(無漂白)の開発につながったそうです。

このダイオキシン問題は、1990年代に高濃度ダイオキシンが身体へ深刻な悪影響をもたらしているという報道キャンペーンが発端でひろまり、大きな社会問題となったものです。

 

ダイオキシンは、基本的には廃棄物の焼却炉で発生するのですが、紙の漂白の際にもわずかに発生するのですが、その漂白というのは「塩素系」の場合。

特に、コーヒー用のペーパーフィルターの漂白は「酸素系」で、ダイオキシンの発生とは無縁だったにもかかわらず、風評被害を回避するために、各社が未晒しペーパーの開発へと舵をきったようです。

 

~未晒しペーパーのにおい~

実際、未晒しのペーパーは若干のパルプ臭がします。小学校などでよく使用される「わら半紙」のようなにおいというとわかりやすいかもしれません。

そのパルプ臭が、コーヒーの抽出に実際に入り込むかどうかはグレーな印象です。目隠しで「このコーヒーは未晒しのにおいがする」なんていうのは経験上ありませんが、実際ペーパーフィルターのにおいを嗅げば、パルプ臭があります。

 

~濡らすとにおいはとれる?~

経験上、濡らすぐらいでペーパーのにおいがとれたと思ったことはありません。それに、製造メーカーの公式な発表としても、濡らしてにおいが軽減はしないといっています。

 

白色=漂白ペーパーとは

前述でもお伝えしたように、酸素系漂白により白色になっています。酸素系漂白は環境を汚染しません。

 

~漂白ペーパーのにおい~

においに関しても、経験上、パルプ臭を感じることはありませんし、メーカーの検証結果でも、「紙臭さはない」としています。

 

さらに、未晒しペーパーの「濡らす(リンス)」の項でも述べたように、たとえにおいを感じたとしても、リンスによって、においをとるということは期待できません。

 

まとめ

さて、今回は長年の懸案だったペーパーのにおい問題についてまとめてみました。結論は、漂白ペーパーをリンスせずに使って大丈夫ということになります。

 

ただし、お湯をかける行為が、器具の温めである場合は、お湯をかけてもいいでしょう。

抽出に関しては、ペーパーが濡れていない方が、最初の蒸らしの段階までにおいて、良いのではないかと筆者は思っています。

 

乾燥したコーヒー粉は、水分子を一瞬にして吸湿しますから、抽出に繊細になればなるだけ、濡れていない状態のほうがいいと思います。

 

以上、一番よく聞かれる、コーヒーのペーパー問題について迫ってみましたが、いかがだったでしょうか。今回のまとめが、今後のコーヒーライフの一助になれば幸いです。

BON COFFEE’s Master

BON COFFEE’s Master

静岡大学卒業後、2009年に地元福井駅前にて「BONCOFFEE」を、2015年に豆販売に主軸をおいた2号店「BONCOFFEE -BEANS STORE-」を開業。2020年、福井駅前再開発事業にともないビーンズ店を板垣に移転し現在に至る。モットーは「1杯のコーヒーのチカラで世界を少しまったりさせる」。作り続けたいコーヒーは、子供からお年寄りまで誰もが気軽に楽しめるコーヒー。コーヒーが飲めなかった人がBONCOFFEEのコーヒーなら飲めた、ブラックで飲めなかった人が飲めるようになったとの声多数。

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