コーヒーの美味しさとは?

コーヒーを飲む女性
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「味覚って人それぞれ」、「コーヒーは嗜好品」。こんなセリフが巷に溢れていますよね?自分の好みのコーヒーの味って、いったいどういったメカニズムでそう感じるようになっているのか気になりませんか?今回は味覚のメカニズムについて科学的に迫っていきたいと思います。

 

美味しさの3要素

「美味しい」とはどういう要素でなりたっているかを考えてみましょう。まず絶対なのは、当然ですが「味」。その次に「香り」、そして最後は「食感」。この3つが味覚の基本です。これらが「美味しさの3要素」です。次に、この3要素を細かくみていきましょう。

 

美味しさの3要素、その1、味

僕たちが普段感じる「味=味覚」には次の5種類があります。「甘味、苦味、酸味、塩味、旨味」。これらを「基本味」とよびます。この他に、これらに準ずる味として「辛味、渋味」があります。

 

~ポジティブな味~

基本味のうち、甘味と旨味は誰もがポジティブにとらえる味の要素です。甘味は糖類に結び付き、旨味はアミノ酸に結び付いています。僕たちは遺伝的に栄養素の高いものを「美味しいもの」と感じるようにプログラムされているので、この甘味と旨味は本能的に人を虜にする性質をもっています。

 

~ややネガティブな味~

基本味のうち、酸味と塩味は適度な量ではポジティブに、限度を超えるとネガティブな味としてとらえます。

 

酸味は、適度な酸はビタミン類の摂取を促す食物を連想しますが、限度を超えると腐敗した食べ物や、熟れる前のエグ味の強烈な果物などの味を連想させ、忌避する傾向にあります。

 

塩味は、適当な濃度では生命活動に必要な塩分やミネラルを補給するのに必須であるため、心地よい旨味と感じます。こちらも過度に濃い、海水のような場合は摂取量によっては、死に至る可能性もあるため本能的に避けようとします。

 

~苦味~

苦味は、毒性の強いものを連想する傾向があり、人は微量でも感知するようにできており、敬遠しようとします。

 

~味センサー・味蕾~

「基本味」というのは、舌全体をおおう「味蕾」という器官(センサー)で判断しています。この味蕾一つ一つが、それぞれの場所で感知を担当する基本味が分かれています。この味蕾は、さらに約100個の「味細胞」で構成されています。

 

舌全体で味蕾は4,000~5,000個程度あるといわれていて、舌でほぼすべての基本味を振り分けています。

 

~辛味、渋味は刺激~

基本味に含まれない味要素として一般的なものに、辛味と渋味があります。特に辛味は昨今の激辛ブームでもわかるように、世間一般で親しまれた味覚なのでどうして?と思われるかもしれませんが、実は味蕾で感知していないのです。

 

辛味や渋みは、痛覚や温冷感覚に近い「刺激」として、人は受容しています。

 

美味しさの3要素、その2、香り

香りは、人が美味しさを感じるための非常に重要な要素です。意外と軽視というか、忘れ去られがちですが、実は香りを遮断するとかなりの味要素が判断できません。

 

子どものころ、嫌いな食べ物を食べなければいけないとき、鼻をつまんで食べたことを思い出してください。大嫌いだったものが何とか食べられた記憶が、誰しもあるはずです。

このことからもわかるように、香りは味判断の重要な要素です。香りのないコーヒーは美味しくないのはこのためなのです。

 

香りは、「立ち香」、「含み香」、「戻り香」の3種に分けられます。「立ち香」は鼻で匂いを嗅ぐ行為そのもの。「含み香」は口腔内で立ち上がる香り。「戻り香」は飲みほしたあと、喉奥から立ち昇ってくる香りのことを、それぞれ指しています。

 

美味しさの3要素、その3、食感

コーヒーに食感はないように思われがちですが、実は味を物語るのに重要な役割をもっています。よく「口当たり」とか「キレ」、「コク」なんて言葉、耳にしませんか?これらも広義の食感(テクスチャー)といえるものです。

 

~口当たり~

口当たり(マウスフィール)は、口の中での粘性を指す言葉です。「口当たり滑らか」などと表現することが一般的で、似たようなものに、「舌触り」もあります。

 

コーヒーにおける粘性は、液体中の脂質(オイル)の感じ方が肝となっています。コーヒー豆は種子なのでゴマ油などと同じように脂質がしっかりと含まれています。この脂質が際立つ上手に焙煎されたコーヒーは、「ベルベットのような」とか「バターフィール」などと表現され、上質なコーヒーかどうかを評価する大事な要素となっています。

 

~キレ~

キレは、コーヒーの場合、苦味や酸味の感じ方と深く関わっています。「キレのあるコーヒー」とは、苦味、酸味が消えていくダイナミクスで感じられるのです。ですので、口にふくんだ最初のインパクトも重要です。最初のインパクトに対して、飲み込んだあとの消失速度が速いほどキレのしっかりしたコーヒーと感じるのです。このキレの良さも、上質なコーヒーであるかどうかの重要な指標となります。

 

~コク~

コクは、味の複雑性に関係する感覚です。「コクのあるコーヒー」の反対は「単調なコーヒー」。口に入れた瞬間から滞在中、飲み込んだ後まで、味の変化に乏しく、面白みの少ないコーヒーは単調な味と表現されます。ただし、必ずしも単調さがマイナスに働くわけではないので注意が必要な感覚でもあります。

 

例えばブラジルは、香ばしさと甘味がウリの素晴らしいコーヒーですが、それほどの複雑さは持ち合わせていません。しかし、味にひろがりは少ないですが深さがあり、飽きのこないコーヒーです。

 

複雑さの代表としてはケニアがあげられます。コーヒー好きが最後にたどり着くのがケニアといわれるように、その多面的で重層的な味わいは捕らえがたく、コーヒー好きをいつも魅了します。

 

まとめ

さて、美味しさの3要素から、感覚刺激まで、さまざまな味感覚を解説してみましたがいかがだったでしょうか。いつものコーヒーライフの感じ方の参考になれば幸いです。

 

BON COFFEE’s Master

BON COFFEE’s Master

静岡大学卒業後、2009年に地元福井駅前にて「BONCOFFEE」を、2015年に豆販売に主軸をおいた2号店「BONCOFFEE -BEANS STORE-」を開業。2020年、福井駅前再開発事業にともないビーンズ店を板垣に移転し現在に至る。モットーは「1杯のコーヒーのチカラで世界を少しまったりさせる」。作り続けたいコーヒーは、子供からお年寄りまで誰もが気軽に楽しめるコーヒー。コーヒーが飲めなかった人がBONCOFFEEのコーヒーなら飲めた、ブラックで飲めなかった人が飲めるようになったとの声多数。

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