コーヒー抽出の基本、エキス
自宅でハンドドリップをしている方に、抽出のイメージとして大事にしてほしいいのが、「蒸らし~第一投目」の部分です。実はこの部分が抽出最大のポイント。
この部分に、いかに精魂注げるかがハンドドリップの基本であり、すべてであるといえます。今回は、蒸らしから、第一投目までを解説してみたいと思います。
蒸らし
「蒸らし」の役割は、コーヒーの粉に、抽出の準備をさせることです。カラカラの粉にいきなりお湯を注いでも、お湯は浸透していかず、ドリッパーの淵から流れ落ちてしまいます。そこで、最初に粉全体を一度湿らせます。
そうすることで、粉に溶け込んでいるコーヒーの成分が、第一投目のお湯にスムーズに移動出来るというわけです。
良い蒸らし
沸騰させたお湯を適度な温度、83~93℃(90℃がベター)に落とし、まずお湯をコーヒー粉に乗せるように注ぐ行為、これを「蒸らし」とよびます。
蒸らしの適当な塩梅をはかる目安として、膨らみが止まったとき(このとき30~40秒)にぽたぽたとコーヒーが落ちてきたら、適切な蒸らしができています。
まったく落ちてこなければ、足りない状態。ツーっと落ちてきてしまえば、多すぎたと思ってください。
蒸らしの時間
蒸らし時間を0・30・40・50秒という条件で、それぞれ第一投目に抽出される50ccを飲み比べてみると、顕著な違いが生じます。
0秒は準備不足で味が出きっていない印象。30・40秒はトロっとした舌触りをもち、香り甘味ともに濃厚でややピリッとした味。50秒は苦味を一番強く感じ、表現としては「TOO MUCH」といえました。
焙煎して3日目の、一番ガスや風味が安定した中深煎りの豆を使用。お湯を乗せてからの膨らみの進行も、40秒まででほぼ完全に止まり、蒸らし50秒になると、粉の色もそれまでの赤茶から、黒へと変色しました。
やはり、蒸らしの最適時間は30~40秒といえます。
そして、カウントの仕方なのですが、僕の解答は「蒸らしを始めたときの、最初のお湯が粉に乗った瞬間から」としています。この方が確実に蒸らしに関してはカウントできるので覚えておいてください。
第一投目
いよいよ抽出開始。第一投目を無事にクリアできるかが大きな鍵です。記事をよく読んでトライしてみてください。
落とし方
第一投目は、その抽出の一番大事な部分です。なぜならこのフェーズでそのコーヒーの美味しさをほぼ決めてしまうからです。お湯のポットを、粉の中心の真上付近にセットして、なるべく垂直に、真下に落とすように心がけましょう。
このとき、理想的にはコーヒー粉からもりもりと出てくる泡がドリッパーの淵へと流れ落ちていかない方がいいですが、それよりも大事なのは、粉の中心に上から垂直にお湯を滑らかに落とすことです。ですので、泡の行方には気を揉まないでくださいね。
落とす量
第一投目は、じっくり行うのが理想です。あせらずゆっくりと行ってください。でも、途中でお湯が切れてしまうのはダメです。一度始めたらスムーズに続けてください。
目安としてはその抽出で作りたい量の「3分の1まで」です。300ccのコーヒー(大きいマグカップ1杯程度)なら、100ccまでを第一投でじっくりシームレスで抽出します。
途中で少し円、もしくは楕円を描くように動かしても良いですが、動かし方はドリッパー底部の「出口の大きさ」までにしましょう。
エキスという考え方
昔のコーヒー職人たちはよく「エキスコーヒー」や「エキス抽出」という言葉を使いました。これは第一投目で抽出されるコーヒーを指しています。
前述にて解説してきたように、蒸らしから、第一投目によってそのコーヒーを決定してしまうエキスが抽出されます。このエキスに心血を注ぎ、このエキスをコーヒーとして提供する喫茶店も多くあったといいます。抽出したエキスは人肌くらいまで温度が下がるのを待ち、トロみがでてきたところでそれを舐めるようにじっくりと味わう文化です。
エキスの濃厚さは、現代社会におけるコーヒーブレイクへの需要とかけ離れてきてしまったこともあり、今ではほとんど見かけなくなってしまいましたが、コーヒーの考え方、抽出の基本としては何も変わらない本質があります。
まとめ
今回はコーヒーの抽出の最重要ポイント、蒸らしから第一投目までを解説してみました。
さらにその部分を「エキス」とカテゴライズし、それを重要な価値として商売にしていた歴史にも軽く触れてみましたがどうだったでしょうか。
「エキス抽出」という言葉を頭に浮かべながらドリップしてみると、結果に大きな違いを生むかもしれません。是非一度試してみてくださいね。
BON COFFEE’s Master
静岡大学卒業後、2009年に地元福井駅前にて「BONCOFFEE」を、2015年に豆販売に主軸をおいた2号店「BONCOFFEE -BEANS STORE-」を開業。2020年、福井駅前再開発事業にともないビーンズ店を板垣に移転し現在に至る。モットーは「1杯のコーヒーのチカラで世界を少しまったりさせる」。作り続けたいコーヒーは、子供からお年寄りまで誰もが気軽に楽しめるコーヒー。コーヒーが飲めなかった人がBONCOFFEEのコーヒーなら飲めた、ブラックで飲めなかった人が飲めるようになったとの声多数。
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